PCR検査の限界

PCR検査数を増やせば、感染者数の実態に迫れるというのは妄想です。

以下は数字を結構使って説明していますが、ポイントは、
・PCR検査では感染者の3割が陰性。精度が低い!
・感染者100人中9人はPCR検査で2回連続陰性になり治ったと見做される。
・検査対象中の感染者の割合が低いと、感染していないのに陽性になる恐れ大。
です。

以下に詳細を記しています。

テレビのワイドショーでコメンテーターや専門家と称する人達が、日本のPCR検査数が少なすぎるため、正確な感染者数を把握できていない。このままでは経路不明な感染者が増え、感染拡大を抑えることができないと言っています。

在日アメリカ大使館は「幅広く検査をしないという日本政府の決定によって、新型コロナウイルスの有病率を正確に把握することが困難になっている」という声明を在日アメリカ人に発信しています。

彼らの言っていることは本当でしょうか。

日本のPCR検査数が他国に比べ少ないことは確かですが、PCR検査数を増やせば有病率を正確に把握することができるようになると考えるのは間違いです。PCR検査はそんな完璧なものではありません。

完璧な検査とは

感染している人は100%陽性、感染していない人は100%陰性となる検査ですが、

そのような検査はこの世に存在しません。

感染している人の内、検査陽性となる人の割合を感度

感染していない人の内、検査陰性となる割合を特異度と言います。

 

感染者(人)

非感染者(人)

PCR検査陽性者(人)

A

C(偽陽性)

PCR検査陰性者(人)

B(偽陰性)

D

とすると

感度 =  A/(A+B)、特異度 =  D/(C+D)

で計算できます。

通常、医療で使われている検査は、感度60~90%、特異度 80~95%程度です。https://www.canon-igs.org/column/macroeconomics/20200212_6236.html

新型コロナウイルスのPCR検査の場合、
「診療所・病院のプライマリ・ケア初期診療の⼿引き(日本プライマリ・ケア連合学会)」によると感度30~70%程度特異度99%以上らしいですが、

感度30~70%程度ということは、感染していてもPCR検査陰性になる人が70~30%いるということです。PCR検査で、正確に感染者と非感染者を区別でき、正確な有病率を求めることができるという前提自体が間違っています。PCR検査は、確定診断に至るためのツールのひとつにすぎません。

 

期待を込めて感度70%、特異度99.9%として、日本にあてはめて計算したいと思います。

国民1億2千万人のうち、0.05%の6万人が感染してしまっているとします。

韓国のように手あたり次第検査した場合、

 

感染者(人)=60,000

非感染者(人)=119,940,000

PCR検査陽性者(人)

A=42,000

C=119,940

PCR検査陰性者(人)

B=18,000

D=119,820,060

となり、

陽性者の74%(=[119,940/(42,000+119,940)]×100)は実は感染していません

感度が70%では、感染者の3割の人が検査をすり抜けてしまいます。

PCR検査に頼っていると感染経路不明の感染者が現れるのは当然です。

PCR検査を繰り返せば、より正確に感染者を特定できると考えるのも間違いです。

上の表で、PCR検査陰性になった方(B&D)にPCR検査を再度行ったとします。

 

感染者(人)=18,000

非感染者(人)=119,820,060

PCR検査陽性者(人)

A=12,600

C=119,820

PCR検査陰性者(人)

B=5,400

D=119,700,240

となり、

この2回目の検査では、

陽性者の90%(=[119,820/(12,600+119,820)]×100)は非感染者で、感染していないのに陽性となる人を増やしているだけです。

万が一、国民の5%の600万人が感染してしまったとしたらどうでしょうか。

 

感染者(人)=6,000,000

非感染者(人)=114,000,000

PCR検査陽性者(人)

A=4,200,000

C=114,000

PCR検査陰性者(人)

B=1,800,000

D=113,886,000

 

ここまで、感染が拡大すれば

陽性者の2.6%(=[114,000/(114,000+4,200,000)])しか非感染者ではなく、ほとんどが感染者となりますが、感染者でも陰性となる人が180万人にもなります。

これがPCR検査の限界です。

PCR検査をどんどん増やし、PCR検査陽性者全員を入院または隔離するようなことをやっていては医療崩壊を招くだけです。本当は非感染者なのに収容されれば、その施設内で真の感染者からウイルスを移されて真の感染者になってしまうリスクが十二分にあります。

逆に、感染者なのに検査陰性というお墨付きをもらった人は安心して、解放感から感染防止対策もそこそこに外出し、周囲の人がウイルスをうつされるリスクを負うことになってしまいます。

 

感染を疑わせる症状がある人、濃厚接触者、感染したら重症化するリスクが高い高齢者や基礎疾患を持っている人に対象をしぼることは当然のことで、CT検査など感度がPCR検査より高い複数の検査を組み合わせることで、感染を確定し、重症度を判定することで、適切な治療につなげようとするのが正しい姿勢です。日本はそのような方向になっていますが、ウイルスの培養皿にしたクルーズ船での対応や政治家や専門家会議がこれまで言っていることを思い起こすと、深慮の結果ではなく対応が遅すぎたため、偶然そうなっただけのような気はします。日本のPCR検査件数は確かに足りていないと思いますが、韓国がやっているドライブスルーでの検査はやりすぎです。

 以下はちょっとマニアックな計算です。

PCR検査人数に対する真の感染者率及びA、B、C、Dを求めてみたいと思います。

4月3日12時現在で、日本では

PCR検査人数 36,687人、PCR検査陽性者数2,541人です。

PCR検査人数に対する真の感染者率をX、

感度70%、特異度99.9%とすると

 

感染者(人)=36,687X

非感染者(人)=36,687(1-X)

 

PCR検査陽性者(人)

A

=36,687X×0.7

C

=36,687(1-X)×0.001

A+C

= 2,541

PCR検査陰性者(人)

B

=36,687X×0.3

D

=36,687(1-X)×0.999

B+D

=34,146

これより

真の感染率はX=0.0976で、

 

 

感染者(人)=36687X

非感染者(人)=36,687(1-X)

 

PCR検査陽性者(人)

A

=2,506

C

=35

A+C

=2,541

PCR検査陰性者(人)

B

=1,089

D

=33,057

B+D

=34,146

となり、

真の感染者であっても、PCR検査陰性となる人が1,000人以上いることになります。

PCR検査陰性でも重症であれば再度検査をすることになるかもしれませんが、真の感染者でも無症候の人がいることを考えれば、PCR検査だけで真の感染者数を把握することは不可能です。PCR検査を増やせば経路不明感染者は減り、もっと正確に感染経路を把握できるようになると考えるのは妄想です

非感染者なのに陽性になった方々は本当にかわいそうです。

 

 

 

 

資格試験

全然更新していませんでしたが、実は法律の勉強をしていました。

「受験」、「偏差値」に毒されている我が身としては、目標がなければ勉強が進まないと思い、法律系国家資格のお受験をしています。

現在の進捗としましては、

2018年11月 行政書士試験

2019年 8月 社会保険労務士試験

を受験し、なんとか合格!!!しました。

調子に乗って、司法試験・予備試験の勉強を始めています。

なぜ法律の勉強を始めたかにつきましては改めて説明いたします。

新型コロナウイルス」について書き始めました。


ストレスチェック後面接指導

ストレスチェックが義務化されて今年で2年目。当初の思惑では、ストレスチェックを受けた1,000名中、高ストレス者に該当するのが100名程度、面接指導を希望するのが4名程度(割合は全体の0.4%)とのことでしたが。

実際は、

ストレスチェックを請け負っている会社に聞いたところ、面接指導を希望したのは、ストレスチェックを受けた10,000名中4~5名と当初期待された人数の10分の1(全体の0.0数%)にすぎないとのことでした。

一方、

厚労省が平成29年7月26日に発表した「ストレスチェック制度の実施状況」では
・ ストレスチェックを受けた労働者のうち、医師による面接指導を受けた割合は全体の0.6%
ですので、当初の思惑と同程度からやや多めということになります。

上記ストレスチェックを請け負っている会社の実績との違いはどこにあるのでしょうか。

会社の規模の違いにあります。

大企業の多くは義務化される以前より独自にストレスチェックのシステムを導入しています。ですので、義務化になったからといって新たにストレスチェックを請け負っている会社を探し、そこに委託する必要はありません。新たに委託するのは中小の企業です。

他の従業員の目を気にせず、面接を受けることができるには、フロアーがいくつもある会社でないと難しいかなと感じていますが、

お陰様で、私の方は、ストレスチェックを受けた1,000名当たり面接指導をさせていただいたのは
去年が、11名(全体の1%
今年が今のところ, 12名
となります。今年度はあと数名は面接をさせていただく予定になっています。

ストレスを感じているのは、仕事のこともありますが、家族との揉め事、ご自身やご家族の健康問題・金銭問題と多岐にわたります。ストレスチェックではとてもカバーしきれていないというのが実感です。