心の疲れ

タイトルに「心の疲れ」と書きましたが、改めて心が疲れているというのはどういうことで、心の疲れが溜まっているってどういう状態かなと考えてみると???と思う方が結構いらっしゃるのではないでしょうか。

体の疲れでしたら、体がだるくて重くて、特にパソコンと長時間にらめっこしていると目がかすんできたり、首の付け根が痛くなってきてと具体的に思いおこすことができます。ところが心の疲れの方は・・・。

体を動かすにはエネルギーが必要です。食べたものを腸で吸収し、体を構成している組織に送り、酸素で分解(酸化分解)して、その過程で発生するエネルギーを、筋肉を動かすため、食べ物を消化吸収するため、体温を維持するため、傷を癒すため、病原菌から体を守るため等々に使っています。空気中の酸素はそれなりに安定していて消化吸収した化合物となかなか反応してくれないので、ミトコンドリアという細胞小器官で酸素を活性酸素という反応しやすい状態にしています。活性酸素は生命活動を維持するためのエネルギー産生になくてはならないものですが、フリーな状態にしておくと生体分子と手当たり次第に反応し体の機能を損ねてしまいます。遺伝子と反応して、遺伝子変異を起こしてしまう恐れもあります。最近の研究から活性酸素は癌の発生や老化を促進する原因物質とみなされるようになっています。活性酸素をエネルギー産生に必要な最小限の量にとどめ、不要になったらすばやく除去できるようにすることが肝要なのですが、活性酸素の除去にもエネルギーが必要です。

疲労を感じている状態とは、エネルギーが不足し、活性酸素も急増している状態と言えます。これ以上活性酸素が増えないよう、エネルギーを再充填し、活性酸素を除去する余裕を持たせるため、だるくて重いと感じさせ体を休ませようと脳が体全体に指令を出しているのです。日焼けの後、寝ていただけなのに体がだるい、疲れたと感じたことはありませんか。日光中の紫外線が皮膚に活性酸素を発生させているからです。

筋肉痛は乳酸が溜まっているからだと言われていましたが、活性酸素が真犯人であると認識されるようになっています。痛みの信号を脳に送るのはそこに有害な活性酸素が溜まっているからです。乳酸はまだエネルギーを取り出せる有用な化合物です。

心の疲れも、この活性酸素が第一の原因でしょう。

脳は一千数百億個の神経細胞と、その50倍の数のグリア細胞から構成されています。グリア細胞は神経細胞のメンテナンスをする細胞です。脳の重さは全体重の2%にすぎませんが、消費しているエネルギーは体全体の約20%ですので、神経細胞が活発に動いている状態、例えば、明日の朝まで終えてしまわないとまた怒られると眠気と闘いながら報告書を作成している時、成果が出ていないことを責められながら発表している時等々では、神経細胞には、ほかの細胞とは桁違いの活性酸素が発生しているはずです。体が疲れている時と同じように、「だるい!重い!」と感じさせ、脳は脳を休ませようとします。脳の疲れ、心の疲れを回復させるためには、体の疲れよりももっともっと休養が必要になります。けた違いの活性酸素が発生しているからです。そのために睡眠を十分とる必要があるのです。

ところが、疲労を知覚する神経は、他の知覚神経と同様麻痺しやすいようです。「何!この臭い!」と感じてもすぐに臭さは和らぎませんか。嗅覚神経は特に麻痺しやすいです。暑い日に、熱いお湯につかると出た後さっぱりして汗もおさまり気持ちがいいと感じるのは皮膚の温痛覚神経が麻痺したからです。腕を思いっきり叩いてみて、その痛さを感じ、その後腕を43℃以上のお湯につけて、熱さに慣れた!?ところで同じ強さで叩いてみると、あれ痛みが・・・ときょとんとするはずです(お勧めはしません。念のために。)。

5時間しか睡眠時間がとれず、それが2週間続いた場合の集中力の低下具合は、まる2日徹夜したのと同じレベルと言われています。2日徹夜したら朦朧となるはずですが、5時間睡眠を2週間続けた場合のほうはそれほど疲労を感じていないかもしれません。それは麻痺していしまっているからです。脳の疲れ、心の疲れは気が付かないままひどくなってしまっている怖さがあります。

自律神経には、闘うための交感神経と安らぎを与える副交感神経があります。ストレスに対し身構える反応を起こすのが交感神経で、ストレスが長期間続くと、ストレスを感じなくてもいい時でも交感神経が興奮を止めなくなってしまいます。これも麻痺の一種です。そのため寝ようと思ってもなかなか寝付けない、眠れても眠りが深くならず、夜間目が覚めてしまうのです。

疲れていないと思っていても常日頃のケアが必要です。麻痺を解くには緊張の糸をまずは断ち切ることが肝要です。まずは自動的に興奮してしまっている交感神経を鎮めましょう。そのためのfirst stepが

         ゆっくりと腹式呼吸し,筋肉の力を抜くこと

です。疲れを知覚できるようにするために。

 

米国の国家機関が腹式呼吸(横隔膜呼吸)を推奨する下記スマホアプリを配布しています。

    スマホの無料アプリ:Tactical Breather, Breathe2Relax

両方ともby National Center for Telehealth & Technology(米国国防総省所属機関)

 

イラク・アフガン戦争から生還した米国兵士200万のうち、50万人が精神的な傷害(PTSD心的外傷後ストレス障害)を負い、毎年250人超(自殺率は一般人の2倍超)が自殺、自殺者の10倍が自殺未遂しているという現実があります。米国の国家機関がこのスマホアプリを配布している理由です。腹式呼吸(横隔膜呼吸)がストレス軽減に役立つとする多くの研究が欧米ではなされています。

アンチエイジング-心身共に若さを保つためにー

毎月の(安全)衛生委員会で、インフルエンザやノロウイルスの感染予防、熱中症対策、腰痛予防等々定番の衛生講話を行っています。それとは別に全従業員を対象とした30~60分の衛生講話もしていますが、今までで圧倒的に反響が大きかったテーマが「アンチエイジング」です。これをテーマにしようとした当初は衛生講話らしく「健康であり続けるために」生活習慣、食習慣、運動習慣をどのように見直したらいいかをメインに据えようとしていました。ですが、女性従業員の方々からの「衛生講話期待してます」との声に応えなければとのプレッシャーから、「シミ」や「しわ」の予防&改善についても調べるようになり、結果「スキンケア」に自分自身がはまってしまっています。

衛生講話で、レチノイン酸(ビタミンA誘導体:アメリカFDAから認可されていますが、日本ではやはり未認可です)配合クリームに「シミ」や「しわ」の改善効果があることを示した論文を紹介したところ、使ってみたいという要望が結構あったため、個人輸入してまずは自分を実験台にしてみました。検索してみると日本の皮膚科でも保険外ですが処方されています。ただし、費用は個人輸入品の5~20倍です。

レチノイン酸配合クリームを1か月使用した結果のスマホ写真です。シミやクスミが全体的に薄くなっているかなと思います。しわについては?です。しわは年齢の割に少ないと言われていて・・・。すみません。

レチノイン酸によるシミ、クスミ改善効果1

効果をできるだけ数値化したいと思い、スマホに装着して肌判定できる「肌レンズ “Memoret(ミモレ)”」を試してみました。数値を見ると確かに効果ありそうです。微シワも改善しています! 因みに、ミモレを使っている方々(大半は女性だと思いますが)の平均点は72点だそうです。すみません。一応情報として。

ミモレでのレチノイン酸肌判定1

レチノイン酸効果肌判定1 by ミモレ

レチノイン酸配合クリームの他に、ハイドロキノン配合クリームもレチノイン酸と相乗効果があるらしいので使い始めています。使用方法、使用上の注意点について今後解説していきます。

「アンチエイジング」のためのキーポイントは体内で発生した「活性酸素」をいかに素早く除去できるかです。「活性酸素」は、肌のシミ、クスミ、シワを引き起こすだけでなく、動脈硬化や癌などの疾患の原因にもなります。運動後の筋肉痛は乳酸ではなく「活性酸素」が原因だと言われるようにもなっています。「活性酸素」を除去する働きをもつものが抗酸化物質で、抗酸化物質には体内で合成できるものと食事で取らなければいけないものがあります。効率よく摂取する方法、体内での合成を促す方法等々についても今後解説していきます。

ここ3か月、いろいろなことがあり全く更新できていませんでした。今後は上記テーマも含め、どんどん情報発信していきます。

ストレスチェックにgoogleフォームを使ってみる(3)

ストレスチェックのWebプログラムを自作しました。
https://www.office-yoshijima.com/occupationalphysician/responsibility/stresscheckdemo/

ストレスチェックにgoogleフォームを使ってみる(1)(2)でご説明したデモから、さらにgoogle spreadsheetのマクロ機能を使い、「ストレス要因」、「ストレスによる自覚症状」、「周囲からのサポート」について解析をしてみました。

高ストレス者面談前にストレスチェック結果を確認していて感じることは、1~5の5段階評価で、ある項目は数字が小さい方が高ストレス、別の項目は数字が大きいほど高ストレスとなっていて、パッと見、「要因」~「自覚症状」~「周囲のサポート」の相関・因果関係がわかりづらいなあ(私には)ということです。レーダーチャートも私には「ちょっとね」という感じです。そこで、すべての項目で「5」を高ストレスに該当する赤信号、「4」を高ストレスへの黄色信号、「3」以下を高ストレスには該当しない青信号として、私にはちょっとだけ見やすいようにしてみました。それが下の図です。Google spreadsheetにも作図機能があります。まだ十分理解していないので、全く満足がいくものにはなっていいません。今後改良していきます。

このデモは、上司に新規projectの提案をしても評価はいつも散々で、ただただ与えられている仕事をこなしているだけ。働きがい・達成感を感じることが出来ず、この仕事は自分には向いていないのではと思い悩む毎日。帰宅しても仕事のことばかり考え、眠りも浅く、朝は体がずっしりと重いという設定です。家族の支えでなんとか持っているといったところ。

ストレス要因解析結果 by google spreadsheet

ストレス要因解析結果 by google spreadsheet

ストレスによる自覚症状解析結果 by google spreadsheet

ストレスによる自覚症状解析結果 by google spreadsheet

周囲からのサポート解析結果 by google spreadsheet

周囲からのサポート解析結果 by google spreadsheet