新型コロナウイルス」カテゴリーアーカイブ

自分が過去罹った軽症・中等症の症状について

2003年5月、台湾人医師が京都、大阪等を一週間ほどかけて旅行し、台湾に帰国した後でSARS陽性が判明し、隔離されています。旅行中利用したバスの運転手にも発熱、咳嗽の症状が現れ、大阪市内の病院に入院しています。当時、私は京都にいて、その年の9月、微熱と乾いた咳に悩まされるようになりました。1か月ほど咳が続き、夜満足に眠ることが出来ず、咳のし過ぎで肋間神経痛も発症し、咳をする度に胸に激痛が走り、のたうち回っていました。中耳炎にもなり、耳鼻科に通ったのですが、そこで処方された抗生物質、解熱鎮痛剤、咳止めは全く効かず、何となく口にした漢方薬の方が咳を止めるのに少しは効いたので、その漢方薬を舐めながら寝ていました。

今回、新型コロナウイルス関連で論文を検索していた時、SARSウイルスの増殖を抑さえる効果がグリチルリチン(甘草の有効成分)にあるという論文を見つけました。LancetというThe New England Journal of Medicineと並ぶ最もメジャーなジャーナルに掲載されていました。甘草は漢方薬にはよく使われています。グリチルリチンには浮腫、高血圧、四肢の脱力などの副作用を引き起こすおそれがあります。くれぐれも「専門家」である医師の指示に従い服用して下さい。SARSに対して臨床で実際に効果があるかは検証されていませんし、私が罹ったのがSARSであったとは確認できていませんので念のため。

2015年5月~7月にかけて、韓国でMERSが感染拡大しました。2015年は下火になっていた韓流ブームがやや盛り返してきた年で、いやな予感がしていました(あくまでも根拠がない予感です)。その年の12月、医局の同部屋の医者がゲホゲホと1週間以上マスクもせず咳き込んでいました。その当時、マスクをする医者は少数で、手指消毒もいいかげんでした。院内での集団感染がいたるところで起きているのはまあそうだろうなと思っています。私はいつもマスクをしていたのですが、その部屋で食事をしたのが(その医者がいない時でしたが)誤りでした。少し咳が出るようになったものの熱はないので大丈夫だと思っていたのですが・・・。忘れもしない12月22日、電車に間に合うようにと早歩きし始めた途端、10メートルも進んでいないのに息切れし、ふらふらになりながら駅にたどり着きました。家に帰り、胸に聴診器をあて、初めて自分の肺から気管支炎・肺炎の音を聞きました。熱も出始め年末・年始寝込んでいました。西洋薬を飲むとかえって気管支炎・肺炎の音がひどくなるような感じがした(あくまでも偏見に満ちた主観です)ので、2003年の経験から漢方薬を舐めながら寝ていました。

病院にいては身が持たないと思い(その他の理由も大いにあり)、その頃から、他の資格へのシフトを考えるようになり、現在に至ります。現在、社会保険労務士と行政書士の試験には合格しています。さらなる目標があるのですが、最近少々疲れ気味です。

2003年の症状では肺炎は起こしていないので軽症に分類されます。2015年は肺炎にはなっていましたが自力で呼吸は出来ていたので中等症です。

軽症、中等症をあまく見てはいけません。

普通に歩くくらいなら軽い肺炎では息切れを感じないかもしれません。2015年の出来事を教訓に早歩きをして体調をチェックするようになり、歩くスピードがかなり早くなりました。

検査と実態との乖離

4月13日付のThe New England of the Medicineに掲載された論文によると
April 13, 2020 DOI: 10.1056/NEJMc2009316

ニューヨーク市コロンビア大学の関連病院で3月22日~4月4日の間に出産した215人の妊産婦を対象に新型コロナウイルスのPCR検査を実施したところ、

215人中33人(15.3%!)がPCR検査陽性

その内29人(全体の13.5%)は無症状。

即ち、PCR検査陽性者の内、87.9%は無症状

 

nejmc2009316_f1
Figure 1. Symptom Status and SARS-CoV-2 Test Results among 215 Obstetrical Patients Presenting for Delivery.

その頃のニューヨーク市のPCR検査陽性者数及びニューヨーク市民全体に占める陽性率は、ニューヨーク州の公式ウエッブサイトからhttps://coronavirus.health.ny.gov/past-coronavirus-briefings

日付

検査陽性者数(人)

陽性率(%)

3月22日

9,045

0.11

  24日

14,904

0.18

  26日

21,393

0.26

  28日

29,766

0.36

  30日

37,453

0.45

4月 1日

47,439

0.57

3日

57,159

0.69

ニューヨーク市の人口は2019年7月現在で8,336,817人(U.S. Census Bureau)

でした。

 

急速にPCR検査陽性者が増えている時期ですが、陽性率は1%未満であり、妊産婦の陽性率15.3%とは大きな乖離があります。

PCR検査を受けるのは、発熱、咳などの症状が出ている人、PCR検査陽性者と濃厚接触があった人が中心で、無症候の多くはPCR検査を敢えて望まないでしょう。

妊産婦が、特に新型コロナウイルスに感染しやすいという報告はありません。妊産婦に行ったPCR検査での結果の方が、より現実に即していると考えていいのではないでしょうか。

4月18日現在のニューヨーク市でのPCR検査陽性者数は131,263人です。

妊産婦にPCR検査を実施した3月22日~4月4日のころの数倍です。

単純すぎる計算ですが、15.3%を数倍してみると、4月18日現在、ニューヨーク市民の半数ほどが感染し、すでに免疫を獲得している可能性が結構あるのではないでしょうか。一人の感染者がウイルスをうつし感染させる平均人数をRとすると、有効な対策を立てていない場合、新型コロナウイルスではR=2~3といわれています。

R=2の場合、全人口の50%が感染し、免疫ができれば、指数関数的な感染者数の増加は止まり、やがて回復する人が増えていくので収束に向かいます。

R=3の場合は、全人口の67%の感染が必要です。

有効な対策を立てる、あるいは感染が流行する前に免疫を持っている人がいればRは小さくなります。

ニューヨーク市では、新規の死亡者数が4月8日ころより減り始めています。おそらく、免疫を持っている人の割合が指数関数的な感染者数の増加を防ぐことが出来るレベルに達したのではないでしょうか。

PCR検査数を増やせば増やすほど、感染者数を正確に把握できるようになると考えるのは非科学的ですが、政治家が有効な対策を取っている素振りをみせるには格好の機会です。

PCR検査数に対する実際の感染者数が少なければ少ないほど、感染していないのに陽性(擬陽性)となる人が増えていきます。擬陽性の人は感染していないので、無症状で、当然死ぬことはありません。これで、致死率を下げることができます。さらに、ドラーブスルー型、ウオーキングスルー型などで手あたり次第に検査を増やすと、検査を受けるのは若年層が中心となり、さらに致死率を下げることができます。年齢別の陽性者数は、韓国では、20代が最も多くなっていますし、ドイツでは、PCR検査陽性者の平均年齢は50歳未満のようです。一方、フランス、イタリアでは62~63歳が平均年齢です。このようにして、他国と比べて致死率の低さを際立たせることが出来るのです。

政治家が他国より有効な対策を政治決断で実行してきた成果だとアピールすれば多くの民は拍手喝采し、支持率が上がります。韓国、ドイツではまさにそうなっています。

一方日本では、PCR検査数は一向に増えていきませんが、PCR検査の限界を理解した上で、科学的な見地から検査数を絞っているようではなさそうです。

4月11日の日経新聞朝刊の記事で、「4月上旬の首相官邸。「PCR検査はなぜ増えないんだ」。安部首相は加藤厚生労働相や西村経済財政・再生相との協議で不満を示した。同席した厚労省の医系技官から明確な返答はなかった。理論的支柱となってきたのは医師免許を持つ医系技官らだった。重度に応じて区別するしくみを早急に作り検査を増やす方向に行かず、軽症者の入院が増え続ければ重症患者に手が回らなくなる「医療崩壊」への懸念という従来からの姿勢が先に立った。」とあります。

元々、日本の民間企業は、「大学」、「専門家」をあてにしていません。強制力のない緊急事態宣言に対して、多くの企業は、様々な対策を自主的に実行しています。日本では、すでに免疫を持っている人が相当数いるのではないでしょうか(そう思う理由については後ほど)。今の自主的取り組みを何とか維持できれば、1~2か月で収束するのではないかと期待しています。

日本の慶応大学病院でも同様な結果が出ています

 

 

新型コロナウイルス

新型コロナウイルスについて、安全衛生委員会で説明している資料+アルファを掲載していきます。

4月29日現在で、産業医をさせていただいている事業所に向けて下記のメッセージを発信しています。

「密閉、密集、密接を避け、現状の自粛を続け、

手洗い、うがい、咳エチケット等日頃の感染予防を徹底していけば

日本は必ず早期に収束に向かいます。

息切れには注意しましょう。肺炎かもしれません。

軽い肺炎ではなかなか気がつかないかもしれません。

時々早歩きをしたり、階段を昇ったりして確かめましょう。

トイレやシャワーで息切れを感じるようなら肺炎はすでに進行しています。

息切れを感じたら、躊躇せずに相談センターへ電話しましょう。

・新型コロナ 集団免疫

・新型コロナの緊急事態宣言解除基準に明確な根拠はありません

5月14日における説明責任について

・的確な状況分析・実態に合った数理モデルによる予測がなければ、出口戦略を立てることは至難です

・接触8割削減に日本人の社会活動・生活様式に即した具合的な根拠はあるのか? 数理モデルでシミュレーションしました

PCR検査の限界
PCR検査の限界②
慶応大学病院 新型コロナ治療目的以外の入院患者でPCR検査陽性率6%の意味
PCR検査陽性率6%の意味②
セントラル空調による感染拡大リスクについて
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