具体的根拠を感じられないというのが実感です。
感染リスクは、同じ距離でも、対面しているか、横に並んでいるかで違います。マスクを着けているかどうかでも当然違ってきます。
品川駅での朝の混雑さが「緩和されていない。けいからん!」という感覚的・感情的な論調で放映されていますが、「ライブハウスでの密集・密接」と「マスクを着け、無言で歩いている密集・密接」では感染リスクが同じであるはずがありません。
「接触8割削減」はヨーロッパのデータをもとにシミュレーションした結果のようですが、日本人は、欧米人のように挨拶時、握手、ハグ、頬と頬を重ねてキスなどしません。日本人は食事前、帰宅後、トイレ後に手を洗います。マスクをする習慣があります。密接による飛沫感染、接触感染のリスクは、欧米人に比べ相当低いはずです。
集団感染を起こしているのは、
・接客を伴う夜の飲食店
・ライブハウス
・病院内
・家庭内
等ですが、上二つのリスクがどれくらいなのか、定量化されていません。少なくとも我々一般人には伝わってきません。電車で会社に行き、仕事をし、電車で帰宅する日常生活と比較してリスクが何倍?になるというのでしょうか。おそらく、けた違いにリスクが大きくなることでしょう。それでは病院内はどうでしょうか。自衛隊の病院では院内感染が起きていないとの報道があります。
自衛隊の病院での感染予防対策についてテレビで拝見いたしましたが、
・マスクをちゃんと装着しているかのチェック(顔とマスクに隙間がないかどうかを調べるフィットテスト)等、感染保護具着脱時のチェックの徹底
・一般病床の区域と感染症病床の区域を二重扉で区切り、感染症病床の方を陰圧(一般病床より感染症病床の方の空気圧を低くすると、仕切り扉を開けても、空気は、一般病床より感染症病床の方に流れるので、空気中を漂っているウイルスが一般病床の方に流れ込まない)に管理
の2点がメインのようでした。
ウイルスが空気中を漂い、それを吸って感染してしまう空気感染をWHO、「専門家」は頑なに否定してきましたが、
通常のオフィスビル、病院の一般病床、そしてクルーズ船は、各部屋が空調のダクトやホースでつながれているセントラル空調です。空気は空調のダクトやホースを通って、各部屋を循環しますので、もし、ある部屋の空気中にウイルスが漂っていたら、空調のダクトやホースでつながれている全部屋にウイルスが流れ込むことになります。
クルーズ船に乗り込み、すぐに下船した感染症専門の医師が、船内はゾーニングがちゃんとされていなかったと言っていましたが、ゾーニングしても無駄だったかもしれません。検疫官が何人も感染してしまったことからも、培養皿化の根本原因をちゃんと解明しないといけないでしょう。
但し、空気感染を否定してきたWHO、「専門家」の責任は重大ということになるので「解明」はしないでしょうけど。
リスクを減らすにはどうしたらいいか、リスクとなる因子を徹底的に洗い出し、それぞれの寄与度を評価し、できるところから速やかに対策を講じる。その対策によってリスクがどれだけ減ったか評価してさらなる改善につなげていく。これは民間企業が日常当たり前のようにやっていることなのですが。
医療関係者への保護具の供給、病院内設備の改善は急務です。国や「専門家」はどのようなことにどれだけの資金を投下すれば、どれだけのリスク低減につながるのが、ちゃんと見積もっているのでしょうか。
自衛隊の病院では感染保護具はそれなりに揃い、設備もちゃんとしていますが、一方で、民間病院ではごみ袋を保護具の代用として使っていることが放映されていました。上述のように設備も不完全でしょう。政治家、「専門家」には適切にリスクアセスメントした上で具体的な改善計画を立て、迅速に実行して頂くことを切に願います。
「感染症流行の予測:感染症数理モデルにおける定量的課題」などの論文を読んでみると
それなりに説得力があるのに、
下図をみて、悲しくなりました。
人と人との接触を8割削減する対策を取った場合
流行の30日後、10万人当たり、感染者数は1,200人余りになるとも言っていますが、これを、都民1,400万人に当てはめると、感染者は14万8千にもなります。
「専門家」は最近、8割削減が達成されているとは言えず、想定していたほど感染者は減っていないと言っていますが、現在の東京都の感染者数は想定より桁違いに少ないです。
このシミュレーションについて、数学からの正確な評価をされている先生がおられます。
とても参考になります。
神戸大学の牧野純一郎教授(神戸大学大学院理学研究科惑星学専攻)
http://jun-makino.sakura.ne.jp/articles/corona/note001.html
先生のおっしゃる通り、数学的にはおかしくないでしょうが、あまりにも実態からかけ離れすぎています。
先生が整理して下さって微分方程式を私なりに実態に合うよう手を加え、結果を出力してみました。
詳細はあらためてご説明申し上げますが、
実効再生産数をこのシミュレーションから算出してみると、
となりました。
専門家会議によると
「全国における推定感染時刻を踏まえた実効再生産数を見ると、3月25日は2.0であったのが、4月10日の実効再生産数は0.7(95%信頼区間:0.7、0.7)となり、1を下回った。」
とのこと。
専門家会議が言っていることとそれほど差異はないように思えますが、さらに改善していきます。
このシミュレーションからも、
すでに、実効再生産数は1.0を十分下回っていると推定されます。
このシミュレーションでは、
・本当の感染者数はPCR検査陽性者数よりも2桁以上多いこと
慶応大学病院 新型コロナ治療目的以外の入院患者でPCR検査陽性率6%の意味
・すでに感染して免疫ができた人も相当数いること
・ウイルスが体内に入っても自己の免疫力で感染が成立しない人がいること
・世に出回っている基本再生産数は実態を表していないこと
等を加味しています。
EUは実効再生産数が1.0を下回れば、緊急事態宣言を解除すると言っているのに、なぜ日本は解除しようとしないのでしょうか。
接触8割減の具体性(いろいろな因子を積み上げた結果ではない)に乏しく、
感染拡大阻止のため国民が守るべき具体的な行動指針を示すことが出来ない
結果、実効再生産数1.0を十分下回っているのに、解除の提言もできない
ということでしょうか。
部分的にでも解除すれば、一時、感染者数は必ず増えます。
その責任を取りたくないのでしょうね。
これでは国民は疲弊していく一方です。
政治家の政治決断を切に求めます。
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